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月経が遅れていて、妊娠しているかも !?

妊娠中で、母体と胎児の健康をチェックしたい

月経が遅れていて、妊娠しているかも!? >>> 妊娠の確認方法と検査時期

妊娠中で、母体と胎児の健康をチェックしたい >>> 妊婦健診

妊娠の確認方法と検査時期

妊娠初期には、以下のような体調の変化や症状が現れることがあります。

  • 月経の遅れ
  • 吐き気、食欲不振など
  • 食欲の変化や嗜好の変化
  • 胸の張りや痛み
  • 頻尿
  • 疲れやすさ

これらの症状は個人差が大きいため必ずしも妊娠しているとは限りませんが、上記の症状が見られた場合は妊娠検査薬でのチェックや医師の診察を受けましょう。

‖妊娠検査薬


受精卵が子宮内膜に着床すると、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が分泌され始めます。妊娠検査薬は、尿中のhCGを検出することにより、妊娠の有無を判定します。hCGの濃度が十分に高くなる月経予定日から1週間後以降に検査を行うのがおすすめです。

最近では、早期妊娠検査薬が販売されており、月経予定日当日からでも検査できる検査キットもありますが、早すぎるとホルモン濃度が低く結果が陰性になることもあります。その場合には、数日おいて再検査することをおすすめします。

‖尿 hCG 検査


自宅で妊娠検査薬検査を行わず来院なさった際は、まず当院にて尿中hCG検査を行います。この検査で陽性であった場合は妊娠が成立しているということになります。

‖超音波検査


超音波検査で子宮内妊娠を確認できるのは、通常、妊娠5週目以降です。この時期は胎嚢が確認できることが多いです。胎児や児心拍が確認できるのは妊娠6~7週目頃です。

妊婦健診

当院では妊娠反応が陽性となった妊娠初期から分娩予定日決定(妊娠8-10週頃)までの妊婦健診を行います。

当院では分娩は行なっておりませんので、各患者さんのご希望も十分考慮した上で適切な医療機関にご紹介させていただきます。

妊婦健診とは、妊娠の経過を確認し、母体と胎児の健康状態をチェックするために定期的に行われる診察や検査のことです。

妊婦健診は、妊娠中に異常がないかを早期に発見したり妊娠に関連した問題を予防したりするために重要です。

妊婦健診の目的は以下の通りです。

‖母体の健康管理


  • 妊娠中の母体に起こりやすい症状(高血圧、血糖値異常、貧血、浮腫など)のチェック
  • 妊娠高血圧症候群妊娠糖尿病の早期発見
  • 胎盤の位置や胎児の状態の確認(前置胎盤や逆子などの問題がないかなど)

‖胎児の発育状態の確認


  • 超音波検査などによる胎児の成長や発育の確認
  • 胎児の心拍や胎動、姿勢の確認
  • 妊娠週数に応じた胎児の発達状態の確認

‖ 合併症の予防と早期発見


  • 異常が疑われる所見を早期に発見し対応することで母子の健康を守るための対策を講じる
  • 出産に向けての準備(分娩に関する必要な情報の提供や精神的なサポートなど)

妊婦健診は、妊娠初期から後期まで定期的に行われます。

健診の内容は妊娠週数に応じて異なりますが、一般的には以下のような内容となります。

‖ 妊娠12週未満 (4週間に1回)


  • 妊娠の確認(超音波検査など)
  • 血液検査や尿検査(血糖値、血液型、貧血の有無、感染症のチェックなど)
  • 母体の体重や血圧の確認
  • 妊娠歴や生活習慣の問診
  • 妊娠中の注意点や生活指導

‖ 妊娠13週〜23週(4週間に1回)


  • 胎児発育の確認(超音波検査など)
  • 母体の健康状態の確認(体重、血圧、尿検査など)
  • 妊娠中期の異常(妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群など)の有無の確認
  • 出産準備に関する相談(出産方法や病院の選択など)

‖ 妊娠24週〜35週(2週間に1回)


  • 超音波検査(胎児の発育、羊水量、胎盤の状態、逆子の有無など)
  • 母体の健康状態の確認(体重、血圧、尿検査など)
  • 妊娠後期の糖負荷試験(妊娠糖尿病の有無)
  • NST(ノンストレステスト):胎児の心拍数のモニタリング
  • 分娩の準備(計画分娩、入院準備、助産師との相談など)

‖ 妊娠36週以降(1週間に1回)


  • 胎児状態の確認(胎児の体重推定、胎児の向きなど)
  • 産道の状態(子宮口の開き具合など)
  • 母体の健康状態の確認

妊婦健診の費用は全額自己負担となりますが、市区町村では妊婦健診の費用の一部を助成する制度を実施しています。

 妊婦健診にかかる費用の一部を負担してくれる妊婦健診助成券が交付され、助成券を利用することにより実際の支払い額は大きく軽減されます。

また、妊婦健診は基本的に健康保険適用外ですが、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病など、何らかの合併症が発生した場合は治療に必要な医療が保険適用となることがあります。

妊娠中に起こりうる疾患

妊娠高血圧症候群とは、妊娠中に高血圧とそれに関連する症状が現れる病態のことを指します。無治療の場合、母体と胎児にさまざまな影響を及ぼす可能性があるため早期発見と適切な管理が大切です。

妊娠高血圧症候群の主な特徴


  • 高血圧 : 血圧が140/90 mmHg以上となり高血圧を呈します。
  • 尿蛋白 :尿中にタンパク質が検出されることがあります。
  • 浮腫 :足や顔にむくみが発生することがあります。

リスク因子


  • 初産婦
  • 年齢:15歳以下、40歳以上
  • 高血圧や糖尿病、腎疾患などの既往あり
  • 肥満
  • 多胎妊娠 (双子の妊娠など)

治療と管理


妊娠高血圧症候群の治療は、症状の重症度に応じて異なります。軽症であれば、安静や降圧薬の投与などを行い慎重に管理することにより妊娠の継続を目指します。

重症の場合、治療効果が乏しく胎児の発育停止や母体の臓器障害などが出現した際は早期の分娩が考慮されます。

予防


妊娠高血圧症候群を完全に予防する方法は確立されていませんが、定期的な妊婦健診を受けること、健康的な食生活と体重管理、適度な運動などが予防に役立つとされています。

妊娠糖尿病は、妊娠中に発症した糖尿病で、妊娠中に身体がインスリンに対する抵抗性を高め、血糖値が正常範囲を超えて高くなることが特徴です。

妊娠糖尿病は、妊娠が進むにつれて分泌されるホルモン(特に、胎盤から分泌されるホルモン)がインスリンの働きを妨げ、血糖値が上昇することが原因とされています。

多くの場合、出産後には血糖値は正常に戻りますが、妊娠糖尿病は母体と胎児に様々な影響を及ぼす可能性があるため、早期に発見し適切に管理することが重要です。

妊婦の多くは、妊娠糖尿病を発症しても自覚症状がないことが一般的です。そのため定期的な妊婦健診で行われる糖負荷検査で気づかれることが多いです。

血糖値が高くても自覚症状が少ないため、検査を受けない限り発見が遅れがちです。

妊娠中に分泌されるホルモンがインスリンの働きを阻害し、インスリン抵抗性が高まることが原因です。

通常、膵臓がインスリンを分泌して血糖をコントロールしますが、妊娠中はヒト胎盤性ホルモン(hPL)、コルチゾール、エストロゲン、プロゲステロン等のホルモンが分泌されるためインスリンの効果が弱くなり、血糖値が上昇しやすくなります。

妊娠糖尿病を発症しやすいリスク因子として、以下のようなものがあります。

  • 尿糖持続陽性
  • 糖尿病の家族歴
  • 肥満
  • 過度の体重増加
  • 巨大児出産の既往
  • 高齢妊娠(35歳以上)

妊娠糖尿病は、適切に管理されない場合、母体や胎児に様々な合併症を引き起こします。

‖ 母体への影響


  • 高血糖によって血管障害を引き起こしたり感染症にかかりやすくなったりします。
  • 高血糖によって血管障害や母体アシドーシスが生じ栄養や酸素が胎児に供給されにくくなります。
  • 胎児の大きく経腟分娩が難しくなり、帝王切開になることがあります。

‖ 胎児への影響


  • 妊娠糖尿病により、胎児が過剰に栄養を摂取し胎児の体重がより増加する(巨大児)ことがあります。巨大児は、肩甲難産になったり帝王切開が必要になることがあります。
  • 出生後に児が低血糖になることがあります。
  • 早産となり児の成熟が十分に進む前に出生となることがあります。その場合、各種臓器が未熟な状態であるためさまざまな影響が出ることがあります。
  • 生まれた児は、将来的に肥満や糖尿病、高脂血症などをきたすリスクが高くなることがあります。

‖ 妊娠中の管理


母児の合併症予防のため妊娠中は厳格な血糖管理が必要となります。食事療法とインスリン療法を中心に治療を行います。

  • 栄養バランスの取れた食事を心がけ、血糖値を安定させるために食事の量やタイミングを調整します。高糖質の食品を避け、低GI(グリセミック・インデックス)食品を選ぶことが推奨されます。
  • 適度な運動(ウォーキングなど)を行うことで、血糖値の管理をサポートします。
  • 血糖値を定期的に測定し、目標範囲内に保つようにします。
  • 食事療法や運動療法だけでは血糖値がコントロールできない場合、インスリン療法が必要になることがあります。
  • 胎児の発育や母体の健康を定期的にチェックします。妊娠糖尿病の場合、妊婦健診の回数が増えることがあります。

‖ 出産後の管理


妊娠糖尿病は、通常出産後に血糖値は正常に戻りますが、妊娠糖尿病の既往がある女性は将来の糖尿病発症のハイリスク群であり、長期にわたる追跡管理が望ましいです。